富士山が世界文化遺産に登録される少し前の4月のことです。 静岡県の清水市と伊豆市を結ぶ「駿河湾フェリー航路」が県道223(ふじさん)号に認定されたという話題を、皆さんはご存知でしょうか?
今回はその県道フェリー航路のはなしです。
駿河湾フェリー航路
駿河湾フェリー航路は、1日4便運航で清水港と伊豆の土肥港をおよそ65分で結びます。
先日、名古屋から西伊豆に旅行に行く機会があり、高速道路・国道を通って行くか、フェリーを使って清水港からショートカットしようか悩みました。
陸路と海路の比較(地図)(クリックするとYahoo!地図にジャンプします)
悩んだ理由は以下のとおり。
- 海がしけたら船は揺れる。船酔いに弱い。
- フェリーの料金は高そう。
- 沼津ICから長岡に至る道路はよく渋滞した記憶が。
- 道路だと結構距離があるな。
- くねくね道もありそう(こちらは車酔い)。
わかりにくいので、Yahoo!地図にある機能やインターネットで調べた料金などを並べて比較表にしてみました。
陸路と海路の比較(表)
料金は圧倒的に陸路で行く方が安いのですが、渋滞のリスクを考えるとフェリーのほうが1時間以上も早く、一長一短です。
結局、同行する妻が船酔いをするということでフェリー案に難色を示し、往路は高速道路で伊豆へ向かい、復路は海が穏やかだったこともあり、フェリーに乗りました。
フェリー乗船記
「夏はフェリーに乗る人が多いかも」と宿で聞いたのですが、当日の朝に乗船を決めたため電話予約が間に合わず、朝食もそこそこに急ぎ土肥港へ向かいました。
予約がない場合は港へ着いた順に乗船するとのことですが、前には10台ほどの車が整然と並んでいるだけでした。 「これなら楽勝」と胸をなでおろしているところに、清水港から折り返しになるフェリーが颯爽と登場。
駿河湾フェリーの船舶「富士」
狭いフェリー内でのバック駐車に悪戦苦闘した経験を持つ身には、あっけないほどの余裕で車を停め、エレベーターで船内へ。
「フェリー=揺れて怖い」の図式がある妻の要望で、500円の追加料金を支払い上の階の特別室に向かいます。ほかのお客さんも少なく、前面の二人シートに陣取っていざ出発です。
ゆったり座れる特別室
出港するとコーヒーのサービスがあり、船のスタッフにお願いすれば快くシャッターを押してくれます。
しばらくすると右手に世界文化遺産「富士山」が見えてきました。
深い青い海に富士山(残念ながらちょっとぼんやり)
海が穏やなこともあったのですが、"横揺れ防止装置"搭載のせいか、揺れらしい揺れもなく、波をかき分けて船は進みます。波はくだけて小さな虹がそこここにできてきれいです。
ふと、「Yahoo!地図アプリ」を立ち上げてみると、フェリー航路上を進んでいます!
清水港に近づくと、富士山の世界文化遺産の構成資産の一つでもある「三保の松原」を海側から眺めることができます。
三保の松原
いよいよ下船というところで気がついたのですが、後部デッキではたこ焼きや貝の串焼きを売っているお店があり、なかなか評判が良いようです。
海が穏やかで富士山がきれいに拝めると満足度も高く、船に乗って良かったという結果になりました。私も2時間以上の運転から解放されため、残りの運転が随分楽でした。
いま駿河湾フェリーでは運賃の割引キャンペーン(20%~50%割引)をおこなっているので、さらにお得感があります。皆さんも一度どうでしょうか。
全国には約300弱のフェリー航路があります。Yahoo!地図ではフェリー航路を表記しており、経路探索をおこなうための道路データの中にもフェリー航路は含まれています。
燃料代の高騰や高速道路網の整備、LCC(格安航空会社)の国内参入など、複数の要因により、フェリー航路は徐々に減ってきています。そのような中で、今回の駿河湾フェリーの県道223(ふじさん)号の登録は、少し明るい話題になったのではないでしょうか。
(文:廣瀬)
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